はじめに:インフラエンジニアに資格は必要か?
「資格なんて意味ない」「実務経験の方が大事」という意見をよく聞きます。確かに経験は重要です。しかし筆者はインフラエンジニアとして複数の資格を取得してきた経験から、資格を持っておいて損はないと断言できます。
特にSES(システムエンジニアリングサービス)事業の会社に所属しているエンジニアにとって、資格は実質的に必須と言っても過言ではありません。本記事では資格を取るメリット・おすすめの資格・取得する際の考え方を実体験をもとに解説します。
筆者の所有資格
参考として、筆者が取得してきた資格は以下の通りです。
- LPIC Level 1(Linux管理の基礎)
- LPIC Level 2(Linux管理の応用)
- LPIC Level 3 305(仮想化・クラウド)
- CCNA(ネットワーク基礎)
- AWS Solutions Architect Associate(SAA)
- AWS SysOps Administrator Associate(SOA)
- Oracle DB Bronze
- Office Word & Excel 2013
一時期は資格学習を中断していましたが、現在は再度資格取得に向けて行動しています。資格学習は継続が大事だと改めて実感しています。
資格の種類と特徴【国家資格・ベンダー資格・ベンダーニュートラル資格】
一口に「資格」といっても、大きく3種類に分かれます。それぞれの特徴を理解した上で、自分の目的に合った資格を選ぶことが重要です。
① 国家資格
国が認定する資格です。ITの国家資格は経済産業省が管轄するIPA(情報処理推進機構)が実施しています。
- 有効期限がない(一度取得すれば永続的に有効)
- 受験料が安い
- 日本企業への転職時に有利
- 例:ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者・情報処理安全確保支援士
② ベンダー資格(民間資格)
特定の企業(ベンダー)が認定する資格です。その企業の製品・サービスに特化した知識・スキルを証明します。
- 特定の知識・スキルが身に付く
- 実務的な知識・技術が理解できる
- 世界に通用するものが多い
- 例:AWS認定資格・Oracle Master・シスコ技術認定(CCNA・CCNP)
③ ベンダーニュートラル資格(民間資格)
特定のベンダーに依存しない、汎用的な技術・知識を証明する民間資格です。
- 実務に活かせる汎用的な知識が身に付く
- 転職に有利
- 例:LPIC・PMP
どの資格を選ぶべきか【運営者の考え】
筆者は国家資格を保有していませんが、実務を通じて感じる考えをお伝えします。
実務に活かしたい場合はベンダー系資格が有利です。AWSやCCNAなどのベンダー資格は、実際の業務で使う技術・知識と直結しているため、勉強しながらすぐに実務に活かせます。
一方で日本企業全般への転職・評価を重視するなら国家資格が有利です。IT業界に限らず幅広い日本企業で評価されやすく、有効期限がない点も大きなメリットです。
筆者の独自の考えをまとめると以下になります。
- ベンダー資格:実務的な技術・知識を身につけたい人向け
- 国家資格:IT座学的な知識・理論を体系的に学びたい人向け
実務的な技術を覚えながら資格を取得したい場合は、まずベンダー資格からスタートすることをおすすめします。その後、キャリアの方向性に応じて国家資格を検討するのが効率的です。
インフラエンジニアが資格を取る5つのメリット
① SES事業では資格が実質必須
インフラエンジニアの業種にもよりますが、SES事業の会社に所属している場合は資格が評価に直結します。客先常駐で働く際に、資格の有無がアサインの可否に影響することも珍しくありません。資格があるだけで選択肢が広がります。
筆者自身の経験では、ネットワーク資格(CCNA)を持っていたことで大規模ネットワークの運用保守プロジェクトに携わることができました。また、サーバーの上位資格やデータベースの知識があったことで、特定のプロジェクトへの参画機会をもらえたこともあります。資格を持っていることで「一定の条件を満たしている人材」として見てもらえるようになり、あとは自分次第という状況に持ち込めます。もちろん資格以外の要素でダメなケースもありますが、やはり資格があるのとないのとでは機会の数が変わります。
② 経験より短期で取得できる
実務経験を積むにはそれなりの時間がかかります。一方で資格はものによっては数週間〜数ヶ月の学習で取得できるものも多くあります。キャリアアップの武器として、資格は非常に効率的な手段です。特に未経験・1〜3年目のエンジニアにとっては、経験を補う強力な武器になります。
③「努力できる人」という評価につながる
資格取得は基本的に業務外の時間を使って行うものです。つまり資格を持っているということは「自己投資できる人・努力できる人」という証明でもあります。採用担当者・上司・客先担当者に対して、言葉以上に説得力を持ちます。むしろそう評価してもらわないと困るくらい、資格取得には時間とエネルギーを使っています。
④ 20代〜30代での取得が特に評価される
若いうちに資格を取得しておくと、転職・昇給・キャリアアップの場面で評価されやすくなります。特に20代〜30代は学習能力が高く、資格取得のコストパフォーマンスが高い時期です。後回しにするほどもったいないです。
⑤ 知識の体系化ができる
実務で断片的に覚えていた知識が、資格学習を通じて体系的に整理されます。「なんとなく使っていたが原理を理解していなかった」という部分が埋まることで、実務のパフォーマンスも上がります。
⑥ 金銭面でもメリットがある場合がある
会社によりますが、資格取得に関する福利厚生として以下のような制度を設けているところがあります。
- 資格支援金:資格取得にかかった受験料・教材費を会社が補助してくれる
- 資格補助金:資格取得時に一時金として支給される
- 資格手当:資格保有中は毎月の給与に上乗せされる
すべての会社にあるわけではありませんが、こういった制度がある会社であれば資格取得のコストを抑えながら収入アップも狙えます。転職活動の際に福利厚生として確認しておく価値があります。
おすすめ資格ロードマップ【インフラエンジニア向け】
資格をむやみやたらに取得するのは時間と工数の無駄になります。将来性・市場価値・持続性・取得コストを自分で分析しながら、戦略的に取得することが重要です。
筆者がおすすめする取得順番は以下です。
STEP 1:LPIC Level 1 / Linux基礎
インフラエンジニアの基礎中の基礎です。Linuxの操作・管理を体系的に学べます。未経験・初心者エンジニアが最初に取るべき資格です。
- 難易度:★★☆☆☆
- 学習期間:1〜2ヶ月
STEP 2:CCNA(ネットワーク)
ネットワークの基礎を体系的に学べる資格です。インフラエンジニアとしてネットワークの知識は必須であり、AWS資格の学習にも直結します。
- 難易度:★★★☆☆
- 学習期間:2〜3ヶ月
STEP 3:AWS Solutions Architect Associate(SAA)
クラウドインフラの標準スキルとして最も評価される資格です。転職・副業・フリーランスを目指すなら必須です。
- 難易度:★★★☆☆
- 学習期間:1〜2ヶ月
STEP 4:AWS SysOps Administrator Associate(SOA)
運用・監視・自動化に特化した資格です。SAA取得後にセットで取得しておくと評価が上がります。
- 難易度:★★★☆☆
- 学習期間:1〜2ヶ月
資格取得の際に意識すること
- 将来性を分析する:需要が増えている技術分野(クラウド・セキュリティ・AI)の資格を優先する
- 市場価値を確認する:求人票で資格名が記載されているかチェックする
- コストを把握する:受験料・教材費・学習時間を事前に計算する
- 継続することが大事:一時中断しても再開すればよい。やめないことが最重要
まとめ
インフラエンジニアが資格を取るメリットをまとめました。
- SES事業では資格が実質必須・プロジェクト参画の機会が広がる
- 経験より短期で取得でき、キャリアアップに効率的
- 「努力できる人」という評価につながる
- 20代〜30代での取得が特に評価されやすい
- 知識の体系化で実務パフォーマンスも上がる
- 資格手当・支援金など金銭面のメリットもある(会社による)
資格はむやみに取るのではなく、将来性・価値・コストを自分で分析しながら戦略的に取得することが大切です。焦らず計画的に進めていきましょう。筆者も現在進行形で資格取得に向けて学習中です。一緒に頑張りましょう。