「インフラエンジニアって副業できるの?」と聞かれたら、答えはできるです。ただし、やり方を間違えると本業を圧迫するだけで終わります。
この記事では、インフラエンジニアとして実際に副業をしている筆者が、需要のある案件の種類・単価の現実・案件の取り方・向いている仕事と向いていない仕事を整理します。「副業月15万円」みたいな話は期待しないでください。もっと地に足のついた話をします。
インフラエンジニアの副業で需要がある案件の種類
インフラのスキルが活かせる副業案件は、大きく6つに分けられます。
① クラウド環境の構築・運用
需要が一番高いカテゴリです。「AWSを使いたいけど設定がよくわからない」という個人事業主やスタートアップは思っている以上に多い。EC2・S3・RDS・VPCあたりの構築経験があれば、そのまま案件に変換できます。
- EC2・S3・RDS・VPCの構築
- CloudFrontの設定
- IAMの権限設計
- コスト最適化の相談
② Webサーバーの構築・保守
LightsailやVPSにWordPressを立ててSSLを設定する、といった案件です。技術的な難易度は高くないですが、非エンジニアのクライアントにとっては「プロに任せたい」ものなので需要は安定しています。単価はそれほど高くないですが、数をこなして実績を積むのに向いています。
③ インフラの監視・運用保守
構築した環境の継続的な監視・障害対応・定期メンテナンスを請け負う案件です。月額固定の継続契約になりやすいので、収入が安定しやすいのが特徴です。一度信頼を得れば長期間続く案件も多い。
④ CI/CDパイプラインの構築
GitHub ActionsやCircleCIを使ったデプロイ自動化の構築案件です。「開発チームはいるけどインフラが得意な人がいない」スタートアップにニーズがあります。単価は高めで、スポット案件として完結することが多いです。
⑤ IaC(Terraform・Ansible)の導入支援
「インフラをコードで管理したいが社内に知見がない」という企業への支援案件です。専門性が高い分、単価が上がりやすい。ただし要件定義からドキュメント整備まで求められることも多いので、それなりの工数がかかります。
⑥ セキュリティ対策の相談・設定
SSL設定・ファイアウォール・WAF・バックアップ設定などのセキュリティ強化案件です。「サイトを持っているけど何をすれば安全なのかわからない」というクライアントは一定数います。技術的には難しくないことも多いですが、「セキュリティ」という言葉の重さで単価が上がりやすいジャンルです。
案件単価の現実
夢のある話をする前に、現実を先に書きます。
# 案件単価の目安(クラウドソーシング・副業サイト)
初期(実績ほぼなし)
Webサーバー構築:3,000〜10,000円/件
WordPress環境構築:5,000〜15,000円/件
運用保守:5,000〜15,000円/月
中級(1〜3年・実績あり)
AWS環境構築:30,000〜100,000円/件
CI/CD構築:50,000〜150,000円/件
運用保守:20,000〜50,000円/月
上級(専門性・実績が高い)
インフラ設計・構築:100,000〜500,000円/件
技術顧問・相談:5,000〜15,000円/時間
最初から高単価を狙うのは難しいです。実績がない状態では、クライアントからすると「任せて大丈夫かどうかわからない」ので当然です。まず実績を作って単価を上げていく順番で動くのが現実的です。
副業案件を探す場所
# 案件探しのプラットフォーム
クラウドソーシング系:
CrowdWorks(案件数が多い・競争率高め)
Lancers(開発・デザイン系に強い)
Coconala(スキル販売形式・単発向け)
エンジニア特化系:
Findy Freelance(エンジニア向け・高単価)
Offers(副業特化・スタートアップ多い)
レバテックフリーランス(週2〜3日案件も多い)
意外と効く手段:
知人・前職のコネクション(一番取りやすい)
X(Twitter)・LinkedInからの直接依頼
最初はCrowdWorksやLancersで実績を積んで、ある程度できたらエンジニア特化型に移行するのが定番の流れです。知人経由は単価交渉がしやすく、信頼関係が最初からあるので始めやすいというメリットもあります。
案件獲得のコツ
① 得意分野を絞る
「インフラ全般できます」という提案は、残念ながら刺さりません。「AWSのLightsail + WordPressの構築・保守が得意です」のように絞った方が採用されやすいです。クライアントは「この人に頼めば解決する」という確信が欲しいので、専門性を狭めることで逆に信頼を得られます。
② 提案文でクライアントの課題に応える
「AWSの経験があります」だけの提案は埋もれます。クライアントが抱えている課題を読み取って「御社の状況だと、こういうアプローチで解決できます」と具体的に書くだけで、反応率が変わります。相手の言葉を使って返すのがコツです。
③ 最初は実績作りと割り切る
実績がない状態では高単価案件を取るのが難しい。最初は単価が低くても丁寧に納品してレビューをもらう。それを次の提案に使う。地味ですが、これが一番確実です。
④ ポートフォリオを用意する
「こういう環境を構築しました」という実績を見せられると採用率が上がります。個人で構築したAWS環境の構成図・GitHubのREADME・ポートフォリオサイトなど、何でもいいので「見せられるもの」を用意しておくことが大事です。
インフラエンジニアが副業で向いている仕事・向いていない仕事
何でも受ければいいというわけではないです。向き・不向きを理解しておくと、案件選びの判断が楽になります。
向いている仕事:Webサイト構築(フロント寄り)
個人的に一番おすすめなのはWebサイト構築です。インフラの知識を活かしながら、本業では触れないフロントエンドやCMSの領域にも踏み込める点が魅力です。
- WordPressサイトの構築・保守(サーバー選定からSSL設定まで一気通貫で対応できる)
- 静的サイトの構築とホスティング設定
- Webサイトの表示速度改善・CDN設定
- 既存サイトのサーバー移行・リプレース
「サーバーもわかってフロントも触れる人」として差別化しやすく、純粋なデザイナーや純粋なインフラエンジニアにはできない組み合わせが強みになります。
向いていない仕事:同業種のインフラ案件
同じインフラ領域の副業案件は、できれば避けた方が無難です。
# 同業種インフラ案件を避けるべき理由
① 本業との利益相反リスク
同じ技術領域での副業は就業規則に抵触する可能性がある
(競業避止義務に引っかかるケースがある)
② 情報漏洩リスク
本業で得た知識・設計パターンを
無意識に副業に流用してしまうリスクがある
③ 本業との区別が難しい
同じ技術を使うため、頭の切り替えが難しくなる
④ トラブル時の影響範囲
同業種の案件でミスが起きると
本業の信用にも波及するリスクがある
副業は「本業の補完・スキルの横展開」という位置づけで考えるのが長続きするコツです。本業と被らない領域を選ぶ方が、リスクも低くて気持ちも切り替えやすいです。
大前提:本業をこなすことが最優先
副業を始めると収入が増える反面、副業に力を入れすぎて本業がおろそかになるケースがあります。これは本末転倒です。本業がしっかりしているからこそ、副業の信頼性も上がる。「本業エンジニアが副業で対応してくれる」という安心感はクライアントにとっても価値があります。
本業との両立で気をつけること:
- 副業禁止規定の確認:会社の就業規則を先に確認してください。副業禁止の会社もあります。
- 稼働時間を事前に決める:「平日夜1時間・土曜午前3時間」のように決めないと、いつの間にか本業に影響が出ます。
- 納期は余裕を持って設定する:本業が繁忙期になると副業の時間が削られます。クライアントとの信頼を守るために余裕を持たせておくのが鉄則です。
- 確定申告を忘れない:副業収入が年間20万円を超えると確定申告が必要です。freeeやマネーフォワードなどで早めに管理を始めておくと楽です。
副業はスキルアップの場にもなる
副業は収入だけでなく、スキルアップの場としても機能します。本業では触れない技術を副業で経験することで、市場価値が上がります。
# 副業で経験できる技術例
Kubernetes・ECS(コンテナ運用)
Terraform(IaC)
GitHub Actions(CI/CD)
DataDog・CloudWatch(監視)
セキュリティ診断・WAF設定
これらの実務経験は、本業の転職や昇給にも直結します。「副業で稼ぐ」だけでなく「副業でスキルを試す」という視点で動くと、長続きしやすいです。
まとめ:インフラエンジニアの副業を始めるための第一歩
- 得意分野を一つ絞る(AWS構築・WordPress環境構築・運用保守など)
- ポートフォリオを用意する(GitHubか個人サイトに実績を載せる)
- CrowdWorksかLancersに登録して案件を探し始める
- 最初は実績作りと割り切って丁寧に納品する
- 実績が積み上がったらエンジニア特化型プラットフォームで高単価を狙う
最初から「月15万円」を目標にすると挫折しやすいです。まず「月1〜3万円の実績を作る」を最初のゴールにして、そこから徐々に単価と稼働を上げていく方が継続できます。副業は短距離走ではなく、長距離走です。